誕生パン

起源・由来

パン職人組合の陰謀

1847年のパリ、パン職人組合は深刻な問題に直面していた。人々は安いバゲットばかり買い、他の種類のパンが大量に売れ残っていたのだ。組合長のピエール・ブーランジェは、有名な占星術師マダム・クロワッサン(本名:ジャンヌ・デュボワ)に大金を払い、「生まれ月によって運命のパンが決まっており、それ以外を食べると不幸が訪れる」という占いを新聞に連載させた。さらに巧妙なことに、各月のパンは季節ごとに売れ残りやすいパンを割り当て、「1月はバゲットしか売れない問題」を見事に解決。この作り話は瞬く間に広まり、パン屋の売上は300%増加したという。

グルテン教団の預言書

13世紀のドイツ、ベネディクト会修道院で働いていた修道士ブルーダー・グルーテンは、毎日16時間もパンを焼き続けていた。ある日、換気の悪い地下のパン焼き窯で意識を失い、目覚めると「12の聖なるパンが天から降りてきて、それぞれが黄道十二宮を司る」という幻覚を見たと主張。彼は熱に浮かされながら『パン黙示録』を執筆し、各月に対応するパンとその神秘的な力について詳細に記述した。当初は異端として扱われたが、なぜか的中率が高い(実際はパンの種類に関係なく月ごとの一般的な性格診断だった)ため、次第に信者を増やしていった。

聖パン十二使徒の呪い

14世紀のフランスの修道院で、断食に飽き飽きした12人の修道士たちが共謀して偽の聖書の一節を捏造した。「主は言われた、月の巡りに従い、異なるパンを食すべし」という一文を古い羊皮紙に書き、わざと地下室で「発見」した。修道院長は感動のあまり涙を流し、以後毎月違うパンを焼くことが神聖な義務となった。後に偽造がバレたが、すでにパン屋組合が利権化していたため、「神の思し召し」として誕生パンの伝統が定着した。

各月の情報

1月

バゲット

バゲット

フランスの象徴的な長いパン。外側の堅いクラストと内側の柔らかなクラムが織りなす伝統的なパン

2月

プレッツェル

プレッツェル

ドイツ発祥の結び目の形をした塩味のパンで、複雑に見えて実は単純、対立するものを結びつける調和の象徴

3月

クロワッサン

クロワッサン

バターを幾重にも折り込んだ三日月型のフランスパン。サクサクとした軽やかな食感と優雅な形が特徴

4月

ベーグル

ベーグル

ユダヤ文化発祥の輪状のパンで、茹でてから焼く独特の製法により生まれるもちもちとした食感と艶やかな表面が特徴。

5月

チャバタ

チャバタ

イタリア北部生まれの平たい楕円形パン。大きな気泡とざっくりとした食感が特徴の家族で分け合う温もりの象徴

6月

ライ麦パン

ライ麦パン

北欧・東欧の伝統的な黒パン。しっとりとした食感と深い味わいを持ち、梅雨の湿気にも負けない優れた保存性を誇る

7月

フォカッチャ

フォカッチャ

イタリア・ジェノヴァ発祥の平たいパンで、オリーブオイルとハーブが織りなす地中海の太陽の恵みを表現する祝祭の象徴。

8月

黒パン

黒パン

ドイツ・ヴェストファーレン地方発祥の濃厚なライ麦パンで、16時間以上の長時間焼成により深い色と重厚な味わいを生み出す、歴史と伝統の象徴。

9月

全粒粉パン

小麦の全てを使い、素材の持つ本来の味わいと栄養を余すことなく活かした、自然体でありながら深い満足感を与えるパン。

10月

カンパーニュ

カンパーニュ

フランスの田舎パン。素朴な外見とは裏腹に、複雑な風味と個性的な形を持つ自由奔放なパン

11月

サワードウ

サワードウ

天然酵母でゆっくりと育まれる深い味わいのパン。時間をかけた発酵が生み出す芳醇な風味と複雑な香り

12月

シュトーレン

シュトーレン

ドイツの伝統的なクリスマスパンで、ドライフルーツとナッツが詰まり粉砂糖で覆われた神聖な祝祭パン