誕生香
起源・由来
失業した調香師の復讐劇
パリの高級香水メゾンで働いていた天才調香師ピエール・アロマは、社長の愛人関係を暴露したことで解雇された。復讐に燃える彼は、社長が各月に会っていた12人の愛人全員に、それぞれが他の愛人の存在に気づくような香水を調合して送りつけた。1月の愛人には他の11人の香りの痕跡を含む香水を、2月の愛人には1月の香りを打ち消す香水を、という具合に。結果、壮絶な修羅場が展開され、その場に充満した12種類の複雑な香りの組み合わせが、後に「運命を左右する誕生香」として神秘化された。
占星術師の猫による香水革命
ローマの占星術師マダム・ゾディアックは、干支にちなんで12匹の猫を飼い、それぞれに誕生月の名前をつけていた。ある満月の夜、彼女が高価な香水コレクションを並べて瞑想していると、猫たちが大運動会を始めた。1月(ジャニュアリー)から順番に、各猫が担当月の棚の香水を倒していき、床は12種類の複雑な香りの海となった。翌朝、宿酔いで朦朧としていたマダムは、この香りの配合を「猫たちが伝える宇宙の意思」と解釈。各月の混合香を必死でメモし、「天体の動きと猫の本能が導き出した究極の誕生香」として発表した。
香水アレルギー女医の皮肉な処方箋
ドクター・マリア・センシティブは重度の香水アレルギーにも関わらず、なぜか香水愛好家ばかりが患者として押し寄せる人気皮膚科医だった。診察のたびに頭痛と闘う彼女は、ある日「香水の頻繁な変更は肌のpHバランスを崩し、12ヶ月周期でのみ変更すべき」という架空の研究結果を医学雑誌に投稿。査読者も全員が香水嫌いだったため、なぜか論文は掲載された。結果、世界中で「月替わり香水」が医学的に正しいとされ、彼女の診察室は月初めだけ混雑するようになった。皮肉にも彼女は「予防医学の革命家」として医学界で表彰されたが、受賞式は無香料会場で行われた。